Twitterの削除・開示請求(2021版)

2021.06.03

削除請求

ツイッターの削除請求には、任意削除請求の方法と、裁判所を使った削除請求(削除仮処分)の方法とがあります。任意削除請求が認められると、アカウントの凍結といった対応が取られます。
もっとも、任意削除に応じるかどうかはTwitterの判断に委ねられているため、思いどおりに削除されないことも珍しくありません。

削除仮処分による削除は,違法なツイートだけが削除対象になります。例外的に,アカウント全体の削除仮処分を申立てた結果として,アカウントが凍結された例もありました。

削除仮処分の流れ

削除仮処分は、住所地を管轄する地方裁判所で(たとえば、大阪在住であれば大阪地裁)削除仮処分の申立をして、認められれば早くて申立てから3~5週間ほどで削除されます。

申立て
裁判所に削除仮処分の申立てをします
債権者面接
申立てから数日後、東京地裁の場合は,申立人(債権者)の言い分を聞く手続があります。主張に不備があれば訂正などを求められます。電話で済む場合もあります。
呼出
Twitter, Inc.を米国から呼び出す手続です。EMSで呼び出すため、2~3週間先に双方審尋期日が設定されます。
双方審尋出
同席のうえTwitterの反論を聞く手続です。1~2週間おきに主張と反論を何度か繰り返します。トータルでは2~6週間かかります。コロナ以降、Twitterは反論姿勢が弱くなり、1回で終わることもあります
発令
Twitterの意向により供託の手続がないため、裁判官が認容だと決めると、決定書がTwitterの代理人(日本の弁護士)に郵送されます。
削除
決定から2~3週間で削除されます。

実は「削除」ではない

ツイッターに対する削除仮処分をもらい「削除」してもらっても、それは実は「削除」ではないことがあります。「This Tweet from @Screen_Name has been withheld in Japan in response to a legal demand.」と表示されているときは、「日本で」見えなくしているだけで、海外では見えます。

これにより1つ問題が生じます。グーグルのクローラーは米国籍のため、日本で見ていることにはならず、「削除」されたはずの情報を取り込んでしまいます。そしてグーグルの検索結果には、「削除」されたはずのツイートが表示されます。そのため、検索結果の削除請求も実施する必要が生じます。

発信者情報開示請求

ツイッターの投稿者については,ログインする際に使われたIPアドレスの開示請求をします。この法的措置(発信者情報開示仮処分)は,必ず東京地裁ですることになっています。
そのため,東京23区以外に住んでいる場合,削除仮処分の管轄裁判所と,開示仮処分の管轄裁判所が別れることになり,2度,仮処分をする必要が生じます。

IPアドレスはログインIPアドレスなので、住所氏名の開示請求訴訟では、「問題のツイートの直前にあるログインIPアドレス」が開示請求の対象になるという解釈が、現在の裁判所の大勢です。平成のころは、ツイートとだいぶ離れた日時のログインIPアドレスでも発信者情報開示請求が認容されていましたが、最近では、「ツイートの後」のログインIPアドレスでは開示請求が認められないケースが目立っています。

改正予定のプロ責法5条3項では、「侵害関連通信」が定義され、この趣旨がいっそう明確にされています。

そのため、ツイッターに対するIPアドレス開示仮処分は、時間との戦いです。投稿者がログ保存期間3か月のプロバイダを使っている場合には、ツイートからIPアドレス開示仮処分を申し立てるまでの猶予期間は2週間ほどしかありません。

いつまでに申し立てなければならないかを計算できるページを用意しました(JavaScriptが動かないブラウザでは実行できません)。

IPアドレス開示仮処分の流れ

申立て
裁判所にIPアドレス開示仮処分の申立てをします。東京地裁だけは、削除と一緒にした「削除・開示仮処分」を申し立てることができます。
債権者面接
申立てから数日後、東京地裁の場合は,申立人(債権者)の言い分を聞く手続があります。主張に不備があれば訂正などを求められます(電話で済む場合もあります)。
呼出
Twitter, Inc.を米国から呼び出す手続です。EMSで呼び出すため、2~3週間先に双方審尋期日が設定されます。
双方審尋出
同席のうえTwitterの反論を聞く手続です。1~2週間おきに主張と反論を何度か繰り返します。コロナ以降、Twitterの反論姿勢が弱くなり、双方審尋が1回で終わることも珍しくありません。
発令
Twitterの意向により供託の手続がないため、裁判官が認容だと決めると、決定書がTwitterの代理人(日本の弁護士)に郵送されます。
IPアドレス開示
決定から約1週間で、Twitter本社から開示のメールが届きます。

Twitterからのメール(請求者あて)

Twitterからのメールの差出人は、Twitter Support <support@twitter.com>、メールのタイトルには、「Twitter Response to Legal Process」という文字列が含まれています。間違って迷惑メールフォルダなどに振り分けられないようにしておきましょう。

このメールの中に、開示情報のダウンロードページへのリンクが記載されています。リンクは1つしかないと、ずっと思っていましたが、2つ(以上)あるケースもあるようなので、要注意です。開示情報が足りないと思ったら、リンクを開き忘れていないか確認しましょう。

Twitterからのメール(投稿者あて)

開示決定が出ると、対象のアカウント保有者あてにも決定から1週間ほどでメールが届きます。差出人は、Twitter Legal<twitter-legal@twitter.com>、文面としては、「法的文書を受領しました」になっていますが、要するに開示決定が出たので開示しますよというものです。

開示されるIPアドレスの特徴

ツイッターから開示されるIPアドレスは,「ログイン時IPアドレス」です。仮処分決定がTwitter代理人に送達され,米国で開示用のファイルが作られた日からさかのぼって60日分のログイン情報が開示されているように見えます。

最近の裁判所の多くは,ツイート直前のログインIPアドレスでしか住所氏名の開示請求を認めていないため,ツイート日から開示決定までの期間が60日以上あると,住所氏名の開示訴訟は請求棄却になるリスクが高まります。

開示されるタイムスタンプはUTC+0なので、一般に、発信者情報開示請求をするには、UTC+9(日本標準時)に変換する必要があります。

たとえば、現在のフォーマットでは以下のようなブロックが1つの塊で、これが複数連なっています。使うところは、createdAtの値とloginIpの値で、前者が接続日時(UTC)、後者がログイン時IPアドレスです。
IPアドレスは、逆引きしてホスト名(FQDN)に変換するほうが、どこのプロバイダのIPアドレスなのか分かりやすいと思います。

{
 ”ipAudit” : {
  ”accountId” : “1100000000”,
  ”createdAt” : “2020-01-01T12:00:30.000Z”,
  ”loginIp” : “126.160.80.110”
 }
},

Twitterから開示されるファイルの中には多いと100~200個のIPアドレスが入っているため、上記の作業は大変に手間がかかります。そこで、Twitter発信者情報開示ファイルからIPアドレスを抜き出して、ホスト名に変換+日本時間に変換してエクセル表にするツールを公開していますので、こちらも使ってみてください。

住所氏名の開示訴訟の流れ

IPアドレスが開示されたあとは、プロバイダを調べ、プロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟をします。
提訴から3~6か月程度で、勝訴していれば、投稿者の住所氏名が開示されます。

Twitterに対する開示訴訟

IPアドレスから辿る方法では投稿者を特定できなかったとき(ログ保存期間が切れていたなど)は,Twitterに対する開示訴訟という方法が残っています。海外法人に対する訴訟のため1年以上かかりますが,Twitterアカウントに登録されているメールアドレスと,2段階認証の携帯電話番号を開示できる可能性があります。
プロバイダ責任制限法の省令3号により,「電話番号」が開示請求できるようになりました(2020/8/31)。

なお,アカウントのメールアドレスや携帯電話番号を,より短い期間で開示請求する方法としては,米国のディスカバリ制度があります。ただし、Twitterはディスカバリでの決定に対して異議(motion)を出して争ってくるため、結果的には同じくらいになる可能性もあります。

呼出の運用(Covid-19対応から復旧)

COVID-19対応のため、2020/5~2021/5、Twitterの呼出に利用されていたEMS(国際スピード郵便)が利用できなかったのですが、2021年6月1日受付分から復旧しました。

そのため、2020年以前と同じく、裁判所に呼出状(裁判所からもらいます)の英訳と、EMSの費用を納付する必要があります。

もっとも、しばらくの間は債務者代理人(予定者)へのメール連絡も併用するとのことです。メールアドレス、件名、本文については、裁判所に確認してください。

COVID-19対応期間中の運用の記録

  1. Twitterの代理人予定者にメールまたはFAXで連絡をとり、(1)副本を受領できるか?(2)後日委任状を出せるか?の2点を確認し、同意を得る
  2. 裁判所に対し、(1)上記の同意をもらったこと、(2)同代理人と期日調整するので「期日指定を留保してください」という2点を記載した上申書を提出
  3. 事務連絡として、Twitterの代理人と期日調整した結果(候補)を裁判所に連絡する

料金

受任内容着手金(税込)成功報酬
削除仮処分300,000設定なし
IPアドレス開示仮処分300,000設定なし
削除+IPアドレス開示仮処分(東京地裁のみ)300,000設定なし
出廷日当(東京地裁以外、1回あたり)3~5万円
  • 2015/04/05 作成
  • 2020/05/12 ~ 9/28 更新
  • 2021/03/15 更新
  • 2021/04/20 更新
  • 2021/06/03 追記(呼出がEMSに戻った/発信者情報開示ファイル変換ツール)