Twitterの削除・開示請求(2020版)

2020.09.28

削除請求

ツイッターの削除請求には、任意削除請求の方法と、裁判所を使った削除請求(削除仮処分)の方法とがあります。任意削除請求が認められると、アカウントの凍結といった対応が取られます。
もっとも、任意削除に応じるかどうかはTwitterの判断に委ねられているため、思いどおりに削除されないことも珍しくありません。

削除仮処分による削除は,違法なツイートだけが削除対象になります。例外的に,アカウント全体の削除仮処分を申立てた結果として,アカウントが凍結された例もありました。

削除仮処分の流れ

削除仮処分は、住所地を管轄する地方裁判所で(たとえば、大阪在住であれば大阪地裁)削除仮処分の申立をして、認められれば早くて3~5週間ほどで削除されます。

申立て
裁判所に削除仮処分の申立てをします
債権者面接
申立てから数日後、東京地裁の場合は,申立人(債権者)の言い分を聞く手続があります。主張に不備があれば訂正などを求められます。
呼出
Twitter, Inc.を米国から呼び出す手続です。EMSで呼び出すため、2~3週間先に双方審尋期日が設定されます(2020/5現在、Covid-19の影響で例外的な運用がされています)。
双方審尋出
同席のうえTwitterの反論を聞く手続です。1~2週間おきに主張と反論を何度か繰り返します。トータルでは1~2か月かかります。
発令
Twitterの意向により供託の手続がないため、裁判官が認容だと決めると、決定書がTwitterの代理人(日本の弁護士)に郵送されます。
削除
決定から2~3週間で削除されます。

実は「削除」ではない

ツイッターに対する削除仮処分をもらい「削除」してもらっても、それは実は「削除」ではないことがあります。「This Tweet from @Screen_Name has been withheld in Japan in response to a legal demand.」と表示されているときは、「日本で」見えなくしているだけで、海外では見えます。

これにより1つ問題が生じます。グーグルのクローラーは米国籍のため、日本で見ていることにはならず、「削除」されたはずの情報を取り込んでしまいます。そしてグーグルの検索結果には、「削除」されたはずのツイートが表示されます。そのため、検索結果の削除請求も実施する必要が生じます。

発信者情報開示請求

ツイッターの投稿者については,ログインする際に使われたIPアドレスの開示請求をします。この法的措置(発信者情報開示仮処分)は,必ず東京地裁ですることになっています。
そのため,東京23区以外に住んでいる場合,削除仮処分の管轄裁判所と,開示仮処分の管轄裁判所が別れることになり,2度,仮処分をする必要が生じます。

IPアドレスはログインIPアドレスなので、住所氏名の開示請求訴訟では、「問題のツイートの直前にあるログインIPアドレス」が開示請求の対象になるという解釈が、現在の裁判所の大勢です。平成のころは、ツイートとだいぶ離れた日時のログインIPアドレスでも発信者情報開示請求が認容されていましたが、最近(2020)では、「ツイートの後」のログインIPアドレスでは開示請求が認められないケースが目立っています。

そのため、ツイッターに対するIPアドレス開示仮処分は、時間との戦いです。投稿者がログ保存期間3か月のプロバイダを使っている場合には、ツイートからIPアドレス開示仮処分を申し立てるまでの猶予期間は2週間ほどしかありません。

いつまでに申し立てなければならないかを計算できるページを用意しました(JavaScriptが動かないブラウザでは実行できません)。

IPアドレス開示仮処分の流れ

申立て
裁判所にIPアドレス開示仮処分の申立てをします。東京地裁だけは、削除と一緒にした「削除・開示仮処分」を申し立てることができます。
債権者面接
申立てから数日後、東京地裁の場合は,申立人(債権者)の言い分を聞く手続があります。主張に不備があれば訂正などを求められます。
呼出
Twitter, Inc.を米国から呼び出す手続です。EMSで呼び出すため、2~3週間先に双方審尋期日が設定されます(2020/5現在、Covid-19の影響で例外的な運用がされています)。
双方審尋出
同席のうえTwitterの反論を聞く手続です。1~2週間おきに主張と反論を何度か繰り返します。トータルでは1~2か月かかります。
発令
Twitterの意向により供託の手続がないため、裁判官が認容だと決めると、決定書がTwitterの代理人(日本の弁護士)に郵送されます。
IPアドレス開示
決定から1~2週間で、Twitter本社から開示のメールが届きます。

Twitterからのメール(請求者あて)

Twitterからのメールの差出人は、Twitter Support <support@twitter.com>、メールのタイトルには、「Twitter Response to Legal Process」という文字列が含まれています。間違って迷惑メールフォルダなどに振り分けられないようにしておきましょう。

このメールの中に、開示情報のダウンロードページへのリンクが記載されています。リンクは1つしかないと、ずっと思っていましたが、2つ(以上)あるケースもあるようなので、要注意です。開示情報が足りないと思ったら、リンクを開き忘れていないか確認しましょう。

Twitterからのメール(投稿者あて)

開示決定が出ると、対象のアカウント保有者あてにも決定から1週間ほどでメールが届きます。差出人は、Twitter Legal<twitter-legal@twitter.com>、文面としては、「法的文書を受領しました」になっていますが、要するに開示決定が出たので開示しますよというものです。

開示されるIPアドレスの特徴

ツイッターから開示されるIPアドレスは,「ログイン時IPアドレス」です。他の弁護士からも情報を教えてもらいつつ複数の事件のデータを整理してみたところ,仮処分決定がTwitter代理人に送達され,米国で開示用のファイルが作られた日からさかのぼって60日分のログイン情報が開示されているように見えます。

最近の裁判所の多くは,ツイート直前のログインIPアドレスでしか住所氏名の開示請求を認めていないため,ツイート日から開示決定までの期間が60日以上あると,住所氏名の開示訴訟は請求棄却になるリスクが高まります。

開示されるタイムスタンプはUTC+0なので、一般に、発信者情報開示請求をするには、UTC+9(日本標準時)に変換する必要があります。

住所氏名の開示訴訟の流れ

IPアドレスが開示されたあとは、プロバイダを調べ、プロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟をします。
提訴から3~6か月程度で、勝訴していれば、投稿者の住所氏名が開示されます。

Twitterに対する開示訴訟

IPアドレスから辿る方法では投稿者を特定できなかったとき(ログ保存期間が切れていたなど)は,Twitterに対する開示訴訟という方法が残っています。海外法人に対する訴訟のため1年以上かかりますが,Twitterアカウントに登録されているメールアドレスと,2段階認証の携帯電話番号を開示できる可能性があります。
プロバイダ責任制限法の省令3号により,「電話番号」が開示請求できるようになりました(2020/8/31)。

なお,アカウントのメールアドレスや携帯電話番号を,より短い期間(3か月程度)で開示請求する方法としては,米国のディスカバリ制度があります。

呼出の運用(Covid-19対応)

コロナウイルス蔓延のため、Twitterの呼出に利用されていたEMS(国際スピード郵便)が利用できなくなり、その代替として、東京地裁では以下の運用が取られています(2020/5/15時点)。

  1. Twitterの代理人予定者にメールまたはFAXで連絡をとり、(1)副本を受領できるか?(2)後日委任状を出せるか?の2点を確認し、同意を得る
  2. 裁判所に対し、(1)上記の同意をもらったこと、(2)同代理人と期日調整するので「期日指定を留保してください」という2点を記載した上申書を提出
  3. 事務連絡として、Twitterの代理人と期日調整した結果(候補)を裁判所に連絡する

料金

受任内容着手金(税込)成功報酬
削除仮処分300,000設定なし
IPアドレス開示仮処分300,000設定なし
削除+IPアドレス開示仮処分(東京地裁のみ)300,000設定なし
出廷日当(東京地裁以外、1回あたり)3~5万円
  • 2015/04/05 作成
  • 2020/05/12 ~ 9/17 更新
  • 2020/09/28 最終更新