発信者情報開示請求

インターネットでの投稿者を特定するための手続です。投稿者の情報(住所,氏名,メールアドレス,IPアドレス,投稿日時,等)を「発信者情報」といいます。
この発信者情報を開示して欲しいと請求する手続が,発信者情報開示請求です。

発信者情報は、省令に規定されている次の7種類です。この中で、「メールアドレス」については、従前SMTP用のメールアドレスだと理解されてきましたが、東京地裁令和元年12月11日判決は、SMSアドレス(携帯電話番号)もメールアドレスに含まれるとの解釈を示しました。

  1. 氏名
  2. 住所
  3. メールアドレス
  4. IPアドレスとポート番号
  5. インターネット接続サービス利用者識別符号(i-mode IDなど)
  6. SIMカード識別番号
  7. タイムスタンプ

手続の流れ

投稿者の特定手続(発信者情報開示請求)の流れは,実名登録型のサイト(ヤフオクなど、Yahoo!のサイトやAmazonなど実名を登録して利用するサイト)と,匿名サイト(2ちゃんねるやTwitterなど実名を登録しなくても利用できるサイト)により,異なります。
Yahoo!知恵袋は匿名サイトですが、同じアカウントでヤフオクを利用している場合などは、アカウントの紐付けにより、ヤフーが住所氏名を把握しているケースもあります。

実名サイト

サイト管理者に対して,投稿者の住所氏名の開示請求訴訟を提起します。
この手続は,必ず訴訟です。
テレコムサービス協会の発信者情報開示請求ガイドラインによる開示請求手続(発信者情報開示請求書)では,原則として開示されません。

匿名サイト

匿名サイトの場合は,以下の手順が必要です

  1. サイト管理者に対する,IPアドレス,タイムスタンプの開示請求
    この手続は,テレコムサービス協会の発信者情報開示請求書によるか,裁判所の発信者情報開示仮処分によるか,どちらかです。メールで開示してくれるサイトもあります。
  2. 開示されたIPアドレスが,どの経由プロバイダの管理するIPアドレスであるかの調査
    IPアドレスと経由プロバイダとの対応は,インターネットで検索できます
  3. 経由プロバイダに対し,必要に応じてログ保存仮処分
    プロバイダの通信ログがもうすぐ消えそうな時期であれば,ログ保存の手続をします。
  4. 経由プロバイダに対し,投稿者の住所氏名の開示請求訴訟
    最後に,経由プロバイダに対して,投稿者の住所氏名の開示請求訴訟をします。

意見照会回答書

プロバイダに開示請求書を送付するか,発信者情報開示請求訴訟を提起すると,プロバイダは投稿者に対し,「住所氏名を開示しても良いかどうか」という意見照会書を送ります。プロバイダ責任制限法4条2項に規定があります。
この段階で,投稿者に違法行為の抑止力が生じるケースも珍しくありません。
ただし,通常は「開示拒否」という意見照会回答書が戻ります。

発信者情報開示請求(投稿者の特定)の流れ

匿名掲示板・ブログの場合

管理人が投稿者(発信者)の個人情報を持たいない匿名掲示板や匿名ブログの場合は、投稿者が利用しているプロバイダーを特定したのち、プロバイダーを相手に発信者情報(住所氏名)の開示請求を行います。

実名登録サイトの場合

住所氏名等を登録して利用する会員サイトの場合は、サイト管理者に対して投稿者(発信者)の情報開示請求を行います。任意の開示請求と、裁判所の手続きによる開示請求の2通りの方法があります。

固定IPアドレスの場合

コンテンツプロバイダ(サイト)から開示されたIPアドレスが固定IPアドレスの場合は、WHOIS検索をするだけで投稿者の所属する団体が判明することもあります。プロバイダの固定IPアドレスサービスが利用されているときは、やはりプロバイダに対する開示訴訟が必要です。

ログ保存期間が経過したとき

経由プロバイダのログ保存期間が経過していると、上記のIPアドレスからたどる方法では、投稿者を特定できません。

その場合は、元々のサイト管理者に対し、IPアドレスではなく、投稿者の情報を開示請求するしかありません。もちろん、匿名サイトであれば住所氏名の情報は存在しないはずなので、あるとしても、二段階認証用の携帯電話番号程度と思われます。

ただし、二段階認証の携帯電話番号の開示請求については、まだ裁判例が固まっておらず、省令改正も検討段階のため、必ず勝訴して開示できるというものではありません。

なお、米国の会社が運営しているサイトなら、米国の裁判手続で開示請求できる場合があります。

  • 2015/01/24 作成
  • 2020/05/12 更新
  • 2020/05/27 更新