申立のタイムリミットをログ保存期間から逆算

2020.06.06

発信者情報開示請求には、接続プロバイダのログ保存期間というタイムリミットがあります。そこで、ログ保存期間から逆算すると、いつIPアドレスの開示仮処分・開示命令申立を申し立てないといけないかを押さえておく必要があります。

なお、提供命令(改正法15条)が発令されてプロバイダ名が提供されると、だいぶ事情が違うため、以下の例ではIP開示仮処分か、IPアドレスの開示命令申立を前提としています。

逆算表(Twitterのケース)

猶予期間はたったの3週間

以下の逆算表では、投稿日+3か月としてプロバイダのログが消える日を決めた後、手続をさかのぼって、いつまでに何をしなければならないかを記入しています。
そして、ログ保存期間3か月のプロバイダ(多くの携帯電話会社)を使って投稿している場合、投稿から、わずか3週間でIPアドレス開示仮処分の申立て(またはIPアドレスの開示命令申立)をしないと間に合わない、という計算になっています。

目安イベント
6月1日この日に投稿されたと仮定
(3週間しか余裕がありません)
6月22日仮処分申立または開示命令申立
(3日ほど)
6月25日債権者面接・申立人と期日調整
(2週間程度)
7月9日第1回期日
(1か月ほど審理期間・ログ調査期間)
8月9日IPアドレス開示仮処分決定または、開示命令の発令
(2週間ほど)
8月23日IPアドレスがメールで開示される
すぐ
8月24日ログ保存の依頼(任意)を出すか、消去禁止命令申立
(1週間ほど)
9月1日ログ保存期間3か月のプロバイダの保存期限
ログ保存期間6か月のプロバイダからのツイートなら,プラス3か月の余裕がある
12月1日ログ保存期間6か月のプロバイダの保存期限

どこを減らせるか

上記の逆算表で節約できるのは,以下の項目です。

  • 債権者面接と第1回双方審尋の間:1週間程度短縮できる可能性がある。
  • 双方審尋の期間:Twitterに何も反論がなければ1か月短縮。
  • 提供命令が発令:後日、この記事を改訂します。

どこが増えるか

ログ保存の依頼をしても,「接続先IPアドレスが必要」と言われたり(KDDI,UQ等),「Twitterの開示した接続先IPアドレスでないとログを調査しない」と言われたり(ソフトバンク)すると,ログの保存に手間取り,ログ保存仮処分が必要になるなどして,さらに2~4週程度必要になることは予想されます。

保存期間切れなら電話番号

ログ保存期間切れで発信者情報開示請求が行き止まりになった場合のために、発信者情報開示命令申立で、Twitterにアカウント情報の開示命令を申し立てておくと良いでしょう。

  • 2020/06/06 作成
  • 2020/06/20 更新
  • 2022/11/15 改正法とTwitterの外国会社登記を踏まえて更新