リポストの開示請求(リポスト日時の特定)

2024.02.27

 リポスト(単純リツイート)は、一定要件のもとで違法になります。大阪高判令和2年6月23日(令元ネ2126号)が有名です。引用しておきましょう。

単純リツイートに係る投稿行為は,一般閲読者の普通の注意と読み方を基準とすれば,元ツイートに係る投稿内容に上記の元ツイート主のアカウント等の表示及びリツイート主がリツイートしたことを表す表示が加わることによって,当該投稿に係る表現の意味内容が変容したと解釈される特段の事情がある場合を除いて,元ツイートに係る投稿の表現内容をそのままの形でリツイート主のフォロワーのツイッター画面のタイムラインに表示させて閲読可能な状態に置く行為に他ならないというべきである。そうであるとすれば,元ツイートの表現の意味内容が一般閲読者の普通の注意と読み方を基準として解釈すれば他人の社会的評価を低下させるものであると判断される場合,リツイート主がその投稿によって元ツイートの表現内容を自身のアカウントのフォロワーの閲読可能な状態に置くということを認識している限り,違法性阻却事由又は責任阻却事由が認められる場合を除き,当該投稿を行った経緯,意図,目的,動機等のいかんを問わず,当該投稿について不法行為責任を負うものというべきである。

発信者情報開示請求ではリポスト日時が必要

 そうすると、違法なポスト(ツイート)をリポストしたアカウントの発信者情報開示請求も可能ということになります。しかし、X(Twitter)の画面にはリポスト日時が表示されておらず、開示請求のハードルとなります。
 なぜなら、リポスト日時が分からないと(申立書に書けないと)、リポストを侵害情報と捉えた場合の「侵害関連通信」(法5条3項)が特定できないためです。

 そこで、リポスト日時の調査が必要です。

以下、この画面へ到達する手順をまとめました。

リポスト日時を開示請求したらどうか

 そんな調査せず、リポスト日時を発信者情報開示請求したら良いのではないか?とのアイデアも思いつきますが、まずリポスト日時を開示請求して、そのあとでリポストの開示請求をすると、プロバイダのログ保存期間に間に合わないのではないか? と思います。
 また、「リポスト日時はそっち(X Corp.)で調べて、よしなに侵害関連通信を特定せよ」と主張する方法も考えられますが、「どのリポストを対象にしているのか特定せよ」「対象のリポストが申立書で特定されていない」と反論されるかもしれません(この手法は試していない)。

 ということで、リポスト日時の調査方法です。

デベロッパーツールで調べる

 今回は、清水陽平弁護士(https://twitter.com/shimizu_alcien/)が、総務省の2023年7月18日午後6時17分のポストをリポストした際のリポスト日時を調査してみます。

 清水陽平弁護士のタイムラインには「弁護士清水陽平(法律事務所アルシエン)さんがリポスト」とは表示されていますが、リポスト日時は表示されていません。

 リポスト日時を調べるには、まず、デベロッパーツール(Chrome)または開発者ツール(Edge)を開き、[ネットワーク]の画面を開きます。

 この状態で、対象アカウントのタイムラインを読み込み(今回は「https://twitter.com/shimizu_alcien/」)、目的のリポストまでスクロールします。そのうえで「UserTweets」で始まる項目をクリックしてください。この項目が複数表示された場合は、上側にあるものをクリックします。そうすると、[レスポンス]の画面が開き、ツイートのデータが表示されます。あらかじめ「フィルタ」と表示されている枠に「UserTweets」と入力しておくと、対象の特定が容易になります。

 次は検索の準備です。いったん、[レスポンス]をクリックしてからCtrl+Fキーを押すと、画面の下端に「検索」と書かれた枠が表示されます。

 この状態で、リポストされたツイートに関するデータを検索します。今回は、総務省ツイートの1行目に「【情報通信・放送」とあるので、これを入力します。すると、検索対象の文字列が黄色で強調表示されます。

 次は、この位置から「legacy」という文字列を探します。検索枠に「legacy」と入力すると、「【情報通信・放送」から一番近い、下方向にある「legacy」が黄色で強調表示されます。

 最後に、この位置から上方向にある「legacy」を探します。検索枠の右端にある「Λ」をクリックしてください。1つ上にあった「legacy」が黄色で強調表示されます。

 その下の3~4行目に書かれているcreated_atがリポスト日時、conversation_id_strがリポスト固有のURLに必要な情報です。

“created_at”:リポスト日時(UTC)
“conversation_id_str”:リポスト固有のURLを作るのに必要なID

 上記の例では、リポスト日時が”Wed Jul 19 07:52:55 +0000 2023″,となっているので、2023年7月19日7時52分55秒(UTC)と分かります。「+0000」がUTCであることを示しています。日本時間は9時間たして、2023年7月19日16時52分55秒(JST)です。

 ということで清水弁護士は、総務省が2023年7月18日午後6時17分にツイートしたものを2023年7月19日16時52分55秒(JST)にリポストしたと分かります。

リポスト固有のURL

 発信者情報開示請求の投稿記事目録には「閲覧用URL」をよく書きますが、リポストの場合は、リポスト固有のURLを書いておくとよいでしょう。形式は以下のようになります。

https://twitter.com/(リポストした人のユーザーネーム)/status/(conversation_id_str)/

 今回の例ですと、https://twitter.com/shimizu_alcien/status/1681572813847801856/となります。表示してみると、「弁護士清水陽平(法律事務所アルシエン)さんがリポスト」という表示が2行目にあるので、総務省ツイートがリポストされたものと分かります。


  • 2024/02/27 作成
  • 2024/02/28 追記