日本版「忘れられる権利」

2015.02.28

相談者の悩み

  • インターネットに自分・自社の誹謗中傷がある
  • インターネットに自分のプライバシー情報が書かれている
  • インターネットに自社の営業妨害となる記載がある

以上のような事象を訴え,また,自らの心の病,身体の不調を訴える相談者があとをたちません。相談者が心身を病んでおり,IT,インターネットが人々を不幸にしていることが分かります。
では,そのように不幸になっている人々を救う方法はないのでしょうか。

忘れられる権利

この「ITで不幸になっている人々を救う方法」の1つが「忘れられる権利」です。インターネット時代の「新しい人権」ともいえます。
EUデータ保護規則(案)17条に規定され,EU司法裁判所(EUの最高裁判所)が2014年5月13日に「the “right to be forgotten”」と表現した権利です。

日本版「忘れられる権利」

日本には,判例上,「人格権に基づく妨害排除請求権としての削除請求権」という形式で,インターネット上の情報に対する削除請求権が認められています。
そのため,「忘れられる権利」という新しい概念を使う必要もなく,インターネット上の情報を削除請求できます。
悩みの対象となっている記事自体への削除請求だけでなく,そういった記事を検索結果として表示する,Googleやヤフーといった検索サイトに対しても,記事の削除を求めることができます。
任意の削除請求だけでなく,裁判所の法的措置により,削除請求をすることもできます。

裁判例

  • 東京地裁平成26年10月9日決定(対Google)
  • 大阪高裁平成27年2月18日判決(対ヤフー,控訴人代理人:島崎弁護士)
  • 東京地裁平成27年5月8日決定(対Google)
  • さいたま地裁平成27年6月25日決定(対Google)

結論

こういった手段により,相談者の悩みを解決できるのではないかと思います。