情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)
第一章 総則(第1条・第2条)
第二章 損害賠償責任の制限(第3条・第4条)
第三章 発信者情報の開示請求等(第5条―第7条)
第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第8条―第20条)
第五章 大規模特定電気通信役務提供者の義務(第21条―第35条)
第六章 罰則(第36条―第39条)附則
第一章 総則
第1条(趣旨)
この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害等があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利について定めるとともに、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項を定め、あわせて、侵害情報送信防止措置の実施手続の迅速化及び送信防止措置の実施状況の透明化を図るための大規模特定電気通信役務提供者の義務について定めるものとする。
第2条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 特定電気通信 不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第2条第1号に規定する電気通信をいう。以下この号及び第5条第3項において同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)をいう。
二 特定電気通信設備 特定電気通信の用に供される電気通信設備(電気通信事業法第2条第2号に規定する電気通信設備をいう。第5条第2項において同じ。)をいう。
三 特定電気通信役務 特定電気通信設備を用いて提供する電気通信役務(電気通信事業法第2条第3号に規定する電気通信役務をいう。第5条第2項において同じ。)をいう。
四 特定電気通信役務提供者 特定電気通信役務を提供する者をいう。
五 発信者 特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう。
六 侵害情報 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が当該権利を侵害したとする情報をいう。
七 侵害情報等 侵害情報、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由をいう。
八 侵害情報送信防止措置 侵害情報の送信を防止する措置をいう。
九 送信防止措置 侵害情報送信防止措置その他の特定電気通信による情報の送信を防止する措置(当該情報の送信を防止するとともに、当該情報の発信者に対する特定電気通信役務の提供を停止する措置(第27条第2項第2号において「役務提供停止措置」という。)を含む。)をいう。
十 発信者情報 氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。
十一 開示関係役務提供者 第5条第1項に規定する特定電気通信役務提供者及び同条第2項に規定する関連電気通信役務提供者をいう。
十二 発信者情報開示命令 第8条の規定による命令をいう。
十三 発信者情報開示命令事件 発信者情報開示命令の申立てに係る事件をいう。
十四 大規模特定電気通信役務提供者 第21条第1項の規定により指定された特定電気通信役務提供者をいう。
第二章 損害賠償責任の制限
第3条(損害賠償責任の制限)
1 特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。
一 当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。
二 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。
2 特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。
一 当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。
二 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から、侵害情報等を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該申出に係る侵害情報の発信者に対し当該侵害情報等を示して当該侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
第4条(略)
第三章 発信者情報の開示請求等
第5条~第7条(略)
第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続
第8条(略)
第9条(日本の裁判所の管轄権)
1~3 (略)
4 第二項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
5~7 (略)
第10条~第11条(略)
第12条(非電磁的事件記録の閲覧等)
1 当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、非電磁的事件記録(発信者情報開示命令事件の記録中次条第一項に規定する電磁的事件記録を除いた部分をいう。以下この条において同じ。)の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付事項の証明書の交付を請求することができる。
2 前項の規定は、非電磁的事件記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)については、適用しない。この場合において、当事者又は利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。
3 前二項の規定による発信者情報開示命令事件の記録の閲覧、謄写及び複製の請求は、当該記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。
第12条の2 (電磁的事件記録の閲覧等)
(略)
第12条の3(事件に関する事項の証明)
(略)
第13条~第16条(略)
第17条(電子情報処理組織による申立て等)
1 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続における申立てその他の申述(次項及び次条において「申立て等」という。)については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第132条の10、第132条の11及び第132条の12(第1項第1号に係る部分を除く。)の規定を準用する。この場合において、同法第132条の10第5項及び第6項並びに第132条の12第2項及び第3項中「送達」とあるのは「送達又は送付」と、同法第132条の11第1項第1号中「もの(第54条第1項ただし書の許可を得て訴訟代理人となったものを除く。)」とあるのは「もの」と、同項第2号中「第2条」とあるのは「第9条において準用する同法第2条」と、同法第132条の12第1項第3号中「第133条の2第2項」とあるのは「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第18条において読み替えて準用する第133条の2第2項」と読み替えるものとする。
2 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続においてこの法律その他の法令の規定に基づき裁判所に提出された書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下この項において同じ。)(申立て等が書面等により行われたときにおける当該書面等を除く。)又は電磁的記録を記録した記録媒体に記載され、又は記録されている事項のファイルへの記録については、民事訴訟法第132条の13(第1号に係る部分を除く。)の規定を準用する。この場合において、同条第3号中「第133条の2第2項」とあるのは「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第十八条において読み替えて準用する第133条の2第2項」と、同条第4号中「第133条の3第1項」とあるのは「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第18条において読み替えて準用する第133条の3第1項」と読み替えるものとする。
第18条(当事者に対する住所、氏名等の秘匿)
発信者情報開示命令事件に関する裁判手続における申立て等については、民事訴訟法第一編第八章の規定を準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
略 | 略 | 略 |
第133条第3項 | 訴訟記録等(訴訟記録又は第132条の4第1項の処分の申立てに係る事件の記録 | 発信者情報開示命令事件(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第2条第13号に規定する発信者情報開示命令事件 |
)中 | )の記録中 | |
訴訟記録等の閲覧等(訴訟記録の閲覧等、非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等又は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等 | 発信者情報開示命令事件の記録の閲覧等(非電磁的事件記録(同法第12条第1項に規定する非電磁的事件記録をいう。)の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付若しくはその複製又は電磁的事件記録(同法第12条の2第1項に規定する電磁的事件記録をいう。次条において同じ。)の閲覧若しくは複写若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくは電磁的記録の提供 | |
略 | 略 | 略 |
第19条(非訟事件手続法の適用関係)
1 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続については、非訟事件手続法第22条第1項ただし書、第27条、第40条、第42条及び第42条の2の規定は、適用しない。
2 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続についての非訟事件手続法第38条の規定の適用については、同条中「非訟事件手続法第42条第1項」とあるのは、「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第17条第1項」とする。
第20条(最高裁判所規則)
この法律に定めるもののほか、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第五章 大規模特定電気通信役務提供者の義務
第21条(大規模特定電気通信役務提供者の指定)
1 総務大臣は、次の各号のいずれにも該当する特定電気通信役務であって、その利用に係る特定電気通信による情報の流通について侵害情報送信防止措置の実施手続の迅速化及び送信防止措置の実施状況の透明化を図る必要性が特に高いと認められるもの(以下「大規模特定電気通信役務」という。)を提供する特定電気通信役務提供者を、大規模特定電気通信役務提供者として指定することができる。
一 当該特定電気通信役務が次のいずれかに該当すること。
イ 当該特定電気通信役務を利用して一月間に発信者となった者(日本国外にあると推定される者を除く。ロにおいて同じ。)及びこれに準ずる者として総務省令で定める者の数の総務省令で定める期間における平均(以下この条及び第25条第2項において「平均月間発信者数」という。)が特定電気通信役務の種類に応じて総務省令で定める数を超えること。
ロ 当該特定電気通信役務を利用して一月間に発信者となった者の延べ数の総務省令で定める期間における平均(以下この条及び第25条第2項において「平均月間延べ発信者数」という。)が特定電気通信役務の種類に応じて総務省令で定める数を超えること。
二 当該特定電気通信役務の一般的な性質に照らして侵害情報送信防止措置(侵害情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われるものに限る。以下同じ。)を講ずることが技術的に可能であること。
三 当該特定電気通信役務が、その利用に係る特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害が発生するおそれの少ない特定電気通信役務として総務省令で定めるもの以外のものであること。
2 総務大臣は、大規模特定電気通信役務提供者について前項の規定による指定の理由がなくなったと認めるときは、遅滞なく、その指定を解除しなければならない。
3 総務大臣は、第1項の規定による指定及び前項の規定による指定の解除に必要な限度において、総務省令で定めるところにより、特定電気通信役務提供者に対し、その提供する特定電気通信役務の平均月間発信者数及び平均月間延べ発信者数を報告させることができる。
4 総務大臣は、前項の規定による報告の徴収によっては特定電気通信役務提供者の提供する特定電気通信役務の平均月間発信者数又は平均月間延べ発信者数を把握することが困難であると認めるときは、当該平均月間発信者数又は平均月間延べ発信者数を総務省令で定める合理的な方法により推計して、第1項の規定による指定及び第2項の規定による指定の解除を行うことができる。
第22条(大規模特定電気通信役務提供者による届出)
1 大規模特定電気通信役務提供者は、前条第1項の規定による指定を受けた日から三月以内に、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を総務大臣に届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 外国の法人若しくは団体又は外国に住所を有する個人にあっては、国内における代表者又は国内における代理人の氏名又は名称及び国内の住所
三 前二号に掲げる事項のほか、総務省令で定める事項
2 大規模特定電気通信役務提供者は、前項各号に掲げる事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。
第23条(被侵害者からの申出を受け付ける方法の公表)
1 大規模特定電気通信役務提供者(前条第1項の規定による届出をした者に限る。以下同じ。)は、総務省令で定めるところにより、その提供する大規模特定電気通信役務を利用して行われる特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者(次条において「被侵害者」という。)が侵害情報等を示して当該大規模特定電気通信役務提供者に対し侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出を行うための方法を定め、これを公表しなければならない。
2 前項の方法は、次の各号のいずれにも適合するものでなければならない。
一 電子情報処理組織を使用する方法による申出を行うことができるものであること。
二 申出を行おうとする者に過重な負担を課するものでないこと。
三 当該大規模特定電気通信役務提供者が申出を受けた日時が当該申出を行った者(第26条において「申出者」という。)に明らかとなるものであること。
第24条(侵害情報に係る調査の実施)
大規模特定電気通信役務提供者は、被侵害者から前条第1項の方法に従って侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出があったときは、当該申出に係る侵害情報の流通によって当該被侵害者の権利が不当に侵害されているかどうかについて、遅滞なく必要な調査を行わなければならない。
第25条(侵害情報調査専門員)
1 大規模特定電気通信役務提供者は、前条の調査のうち専門的な知識経験を必要とするものを適正に行わせるため、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害への対処に関して十分な知識経験を有する者のうちから、侵害情報調査専門員(以下この条及び次条第2項第2号において「専門員」という。)を選任しなければならない。
2 大規模特定電気通信役務提供者の専門員の数は、当該大規模特定電気通信役務提供者の提供する大規模特定電気通信役務の平均月間発信者数又は平均月間延べ発信者数及び種別に応じて総務省令で定める数(当該大規模特定電気通信役務提供者が複数の大規模特定電気通信役務を提供している場合にあっては、それぞれの大規模特定電気通信役務の平均月間発信者数又は平均月間延べ発信者数及び種別に応じて総務省令で定める数を合算した数)以上でなければならない。
3 大規模特定電気通信役務提供者は、専門員を選任したときは、総務省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨及び総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならない。これらを変更したときも、同様とする。
第26条(申出者に対する通知)
1 大規模特定電気通信役務提供者は、第24条の申出があったときは、同条の調査の結果に基づき侵害情報送信防止措置を講ずるかどうかを判断し、当該申出を受けた日から十四日以内の総務省令で定める期間内に、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項を申出者に通知しなければならない。ただし、申出者から過去に同一の内容の申出が行われていたときその他の通知しないことについて正当な理由があるときは、この限りでない。
一 当該申出に応じて侵害情報送信防止措置を講じたとき その旨
二 当該申出に応じた侵害情報送信防止措置を講じなかったとき その旨及びその理由
2 前項本文の規定にかかわらず、大規模特定電気通信役務提供者は、次の各号のいずれかに該当するときは、第24条の調査の結果に基づき侵害情報送信防止措置を講ずるかどうかを判断した後、遅滞なく、同項各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項を申出者に通知すれば足りる。この場合においては、同項の総務省令で定める期間内に、次の各号のいずれに該当するか(第三号に該当する場合にあっては、その旨及びやむを得ない理由の内容)を申出者に通知しなければならない。
一 第24条の調査のため侵害情報の発信者の意見を聴くこととしたとき。
二 第24条の調査を専門員に行わせることとしたとき。
三 前二号に掲げる場合のほか、やむを得ない理由があるとき。
第27条(送信防止措置の実施に関する基準等の公表)
1 大規模特定電気通信役務提供者は、その提供する大規模特定電気通信役務を利用して行われる特定電気通信による情報の流通については、次の各号のいずれかに該当する場合のほか、自ら定め、公表している基準に従う場合に限り、送信防止措置を講ずることができる。この場合において、当該基準は、当該送信防止措置を講ずる日の総務省令で定める一定の期間前までに公表されていなければならない。
一 当該大規模特定電気通信役務提供者が送信防止措置を講じようとする情報の発信者であるとき。
二 他人の権利を不当に侵害する情報の送信を防止する義務がある場合その他送信防止措置を講ずる法令上の義務(努力義務を除く。)がある場合において、当該義務に基づき送信防止措置を講ずるとき。
三 緊急の必要により送信防止措置を講ずる場合であって、当該送信防止措置を講ずる情報の種類が、通常予測することができないものであるため、当該基準における送信防止措置の対象として明示されていないとき。
2 大規模特定電気通信役務提供者は、前項の基準を定めるに当たっては、当該基準の内容が次の各号のいずれにも適合したものとなるよう努めなければならない。
一 送信防止措置の対象となる情報の種類が、当該大規模特定電気通信役務提供者が当該情報の流通を知ることとなった原因の別に応じて、できる限り具体的に定められていること。
二 役務提供停止措置を講ずることがある場合においては、役務提供停止措置の実施に関する基準ができる限り具体的に定められていること。
三 発信者その他の関係者が容易に理解することのできる表現を用いて記載されていること。
四 送信防止措置の実施に関する努力義務を定める法令との整合性に配慮されていること。
3 大規模特定電気通信役務提供者は、第1項第3号に該当することを理由に送信防止措置を講じたときは、速やかに、当該送信防止措置を講じた情報の種類が送信防止措置の対象となることが明らかになるよう同項の基準を変更しなければならない。
4 第1項の基準を公表している大規模特定電気通信役務提供者は、おおむね一年に一回、当該基準に従って送信防止措置を講じた情報の事例のうち発信者その他の関係者に参考となるべきものを情報の種類ごとに整理した資料を作成し、公表するよう努めなければならない。
第28条(発信者に対する通知等の措置)
大規模特定電気通信役務提供者は、その提供する大規模特定電気通信役務を利用して行われる特定電気通信による情報の流通について送信防止措置を講じたときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、遅滞なく、その旨及びその理由を当該送信防止措置により送信を防止された情報の発信者に通知し、又は当該情報の発信者が容易に知り得る状態に置く措置(第2号及び次条第三号において「通知等の措置」という。)を講じなければならない。この場合において、当該送信防止措置が前条第1項の基準に従って講じられたものであるときは、当該理由において、当該送信防止措置と当該基準との関係を明らかにしなければならない。
一 当該大規模特定電気通信役務提供者が送信防止措置を講じた情報の発信者であるとき。
二 過去に同一の発信者に対して同様の情報の送信を同様の理由により防止したことについて通知等の措置を講じていたときその他の通知等の措置を講じないことについて正当な理由があるとき。
第29条(措置の実施状況等の公表)
大規模特定電気通信役務提供者は、毎年一回、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を公表しなければならない。
一 第24条の申出の受付の状況
二 第26条の規定による通知の実施状況
三 前条の規定による通知等の措置の実施状況
四 送信防止措置の実施状況(前三号に掲げる事項を除く。)
五 前各号に掲げる事項について自ら行った評価
六 前各号に掲げる事項のほか、大規模特定電気通信役務提供者がこの章の規定に基づき講ずべき措置の実施状況を明らかにするために必要な事項として総務省令で定める事項
第30条(報告の徴収)
総務大臣は、第23条、第25条、第26条、第27条第1項若しくは第3項、第28条又は前条の規定の施行に必要な限度において、大規模特定電気通信役務提供者に対し、その業務に関し報告をさせることができる。
第31条(勧告及び命令)
1 総務大臣は、大規模特定電気通信役務提供者が第23条、第25条、第26条、第27条第1項若しくは第3項、第28条又は第29条の規定に違反していると認めるときは、当該大規模特定電気通信役務提供者に対し、その違反を是正するために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
2 総務大臣は、前項の規定による勧告を受けた大規模特定電気通信役務提供者が、正当な理由がなく当該勧告に係る措置を講じなかったときは、当該大規模特定電気通信役務提供者に対し、当該勧告に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。
第32条(送達すべき書類)
1 第21条第1項の規定による指定、第30条の規定による報告の徴収、前条第1項の規定による勧告又は同条第2項の規定による命令は、総務省令で定める書類を送達して行う。
2 第21条第1項の規定による指定又は前条第2項の規定による命令に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第30条の規定による通知は、同条の書類を送達して行う。この場合において、同法第31条において読み替えて準用する同法第15条第3項の規定は適用しない。
第33条(送達に関する民事訴訟法の準用)
前条の規定による送達については、民事訴訟法第第100条第1項、第101条、第102条の2、第103条、第105条、第106条及び第108条の規定を準用する。この場合において、同項中「裁判所」とあり、及び同条中「裁判長」とあるのは「総務大臣」と、同法第101条第1項中「執行官」とあるのは「総務大臣の職員」と読み替えるものとする。
第34条(公示送達)
1 総務大臣は、次に掲げる場合には、公示送達をすることができる。
一 送達を受けるべき者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合
二 外国においてすべき送達について、前条において読み替えて準用する民事訴訟法第108条の規定によることができず、又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合
三 前条において読み替えて準用する民事訴訟法第108条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合
2 公示送達は、送達をすべき書類を送達を受けるべき者にいつでも交付すべき旨を総務省令で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置くとともに、その旨が記載された書面を総務省の掲示場に掲示し、又はその旨を総務省の事務所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置く措置をとることにより行う。
3 公示送達は、前項の規定による措置を開始した日から二週間を経過することによって、その効力を生ずる。
4 外国においてすべき送達についてした公示送達にあっては、前項の期間は、六週間とする。
第35条(電子情報処理組織の使用)
総務大臣の職員が、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第3条第9号に規定する処分通知等であって第32条の規定により書類を送達して行うこととしているものに関する事務を、同法第7条第1項の規定により同法第6条第1項に規定する電子情報処理組織を使用して行ったときは、第33条において読み替えて準用する民事訴訟法第百条第一項の規定による送達に関する事項を記載した書面の作成及び提出に代えて、当該事項を当該電子情報処理組織を使用して総務大臣の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。)に備えられたファイルに記録しなければならない。
第六章 罰則
第36条
第31条第2項の規定による命令に違反した場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
第37条
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第22条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 第30条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
第38条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第36条又は前条第1号 一億円以下の罰金刑
二 前条第2号 同条の罰金刑
第39条
次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。
一 正当な理由がなく、第21条第3項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第25条第3項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者