手続の概要
米国のディスカバリ制度は、裁判所を利用した、情報開示請求の制度です。「日本の裁判所で投稿者を訴える(損害賠償請求する)ために必要な情報だから」という理由を申し立てて、裁判所の管轄内にある米国企業に対し、情報の開示を求めることができます。
最近日本では、サッピーナという用語でも知られる手続です。
活用事例
- ログインIPアドレスが日本より早く開示されるケースもあるため、日本での発信者情報開示請求訴訟に利用できます
- グーグルアカウント・Twitterアカウント等に登録された、リカバリ用メールアドレス、リカバリ用SMSアドレス(携帯電話番号)が開示されるケースもあるため、あとは日本での弁護士会照会により、携帯電話会社から契約者に関する情報を取得できます。
- 電話番号・メアドの開示請求は、日本法を使うと1年くらいかかりますが、ディスカバリなら2~3か月で開示できる可能性があります。
- プロバイダ責任制限法と異なり、Gメールの送信者に関する情報を取得できます。
- クラウドフレアに対する開示請求により、オリジンサーバーのIPアドレスを取得できる場合があります。
- グーグルに対する開示請求により、グーグルアナリティクスタグなど、各種タグの登録者に関する情報を取得できます。これにより、サイト運営者が判明するケースがあります。
手続の流れ
まず、私のほうで投稿の違法性(日本法のもとで、なぜ投稿が違法なのか)を文書にまとめ、証拠と一緒に米国弁護士へ送ります。
米国弁護士は、米国裁判所あての開示請求書(申立書)を作り、裁判所に提出します。
そのあと、米国裁判所が申立書を審理して、開示請求を認めるかどうか判断します。最短で、申立ての翌日に開示の決定(order granting)が出ることもありますが、1か月以内には決定が出ている印象です。
そのあと、米国企業が投稿者への意見照会などの手続をして、1~2か月後くらいに開示されています。また、異議の申立(motion to quash or modify the subpoena)をすることもできます。実際、Twitterは異議の申立をしてきますので、米国での裁判が長期化します。
料金
内容 | 着手金 |
米国制度を使った情報開示請求 | 220,000円(税込) |
米国弁護士の料金 | 5,125ドル |
- 2020/05/09 作成
- 2021/06/15 掲示板での指摘により、メリットの表現を変更(省令改正で電話番号が追加されたため)