「口コミ」:米グーグルに「中傷」書き込み削除命じる

2015.04.11

グーグルマップのクチコミについて,千葉地裁松戸支部で削除仮処分決定が発令された。
「書き込みの削除を運営会社に命じる判断は珍しい。」と報じられている。

毎日新聞(2015/4/11)
http://mainichi.jp/select/news/20150411k0000m040157000c.html

クチコミの削除決定は珍しくはない

報道によると,クチコミの削除を運営会社に命じる判断は珍しい,と書かれていますが,実は,それほど珍しい話ではありません。多くが削除仮処分決定,という非公開の手続でなされているため,報道される機会が少ないのです。
クチコミの内容が人格権を侵害していれば,それがクチコミでも,掲示板の投稿でも,ブログでも,裁判所の判断は同じです。

毎日新聞では,グーグルは「ネット上の口コミは、利用者が意見を共有できる重要な手段だ」と反論している,と書かれていますが,誰かの人権を侵害する違法な意見を共有することが,内容にかかわらず一律重要とまでは思えません。

債権者代理人の中澤佑一弁護士のツイートによると,中澤弁護士への取材はなかったとのことなので,Google側の情報に依拠した記事のようです。
中澤弁護士によりますと,本件決定に対し,グーグルは徹底的に争う予定とのこと。

Google+の削除仮処分

クチコミの削除という点では従来どおりとはいえ,今回の件は,米国グーグルに,グーグルプラスの削除を命じている点で,珍しい事例だと思います。報道では「グーグルマップ」と書かれていますが,グーグルマップにクチコミを投稿することイコール,グーグルプラスに投稿すること,という仕組みだそうです。
中澤弁護士は,米国グーグル社に対し,週明けの月曜にも強制執行の一種である間接強制の申立をする予定と話しており,今後の行方が注目されます。

海外での反響

Japanese Court Orders Google To Delete Critical Reviews From Google Maps(http://techcrunch.com/2015/04/10/japan-google-maps-reviews/#.db4j7v:TJWC)という記事が出ています。日本での報道より先に,海外で話題になっていたようです。

.comに対する削除決定

上記海外サイトによると,本件では,google.co.jpだけでなくgoogle.comも削除対象となっているようです。おそらく,グーグルプラスのホスト名が「plus.google.com」だからでしょう。グーグルはこれまで,.comはグローバルなサービスだからという理由で,各国の裁判所の命令には従っていないと報道されています。この点においても,今回の決定の行方が気になります。