二審も携帯番号の開示命じる ツイッター成り済まし訴訟(共同通信2021/4/8)

2021.04.09

何者かが自分に成り済ましてツイッターのアカウントを開設したとして、神奈川県内の未成年の男性が、開設に使われた携帯電話番号の開示をツイッター社に求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は8日、開示を命じた

https://www.47news.jp/6088253.html

どこにポイントがあるのか

東京高裁令和3年4月8日判決は、上記のように、ツイッターのなりすましアカウントについて、「携帯電話番号」の開示を認めました。もっとも、電話番号の発信者情報開示請求は、令和2年8月31日の総務省令改正で認められており、このニュースだけ読んでも、どこにポイントがあるのかは分からないと思います。

この判決は、改正前の総務省令3号にあった「メールアドレス」の中に、SMTP方式のメールアドレスだけでなく、いわゆる「SMSメールアドレス」、つまり携帯電話番号が含まれるか、という論点に関するものです。

東京地裁令和2年6月26日判決(https://kandato.jp/report/20200627/)が「メールアドレス」にSMSメールアドレスが含まれると判断したため、ツイッターが控訴し、「メールアドレス」にSMSメールアドレスは含まれないと主張したわけですが、東京高裁は「含まれる」と判断した、というのが上記ニュースです。

しかし、すでに省令が改正されて電話番号の発信者情報開示請求が認められていますので(現行省令3号)、この高裁判決を今後使うことはないだろうと思います。

使うとしたら、過去に何らかの理由で投稿者特定に失敗しているケースで、これから携帯電話番号の開示請求をするような場合です。
TwitterからIPアドレスを開示したけれどログ保存期間切れだったとか、接続先IPアドレスが特定できなくてプロバイダ側でログを見つけることができなかった等、IPアドレスから投稿者を特定できなかったケースで、携帯電話番号をSMSメアドとして開示請求する方法が考えられます。

同じ論点に関する判決予定

これと同じ論点に関する高裁判決は、5月18日と20日にも出る予定です。