発信者情報開示請求により投稿者を特定したあとは,一般的には,任意交渉により誤解を解き,「もう書かないように」伝えるか,損害賠償請求訴訟(慰謝料請求訴訟)という手続を取ります。
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任意交渉
一番ゆるやかな方法は,任意交渉です。投稿者に事情を説明し,誤解をとき,和解し,もう二度と書かないという約束ができるかもしれません。同じことを裁判所でする場合には,調停手続を利用します。
損害賠償請求
名誉毀損(名誉権侵害)やプライバシー侵害,名誉感情侵害(侮辱)を理由とした,慰謝料請求です。
相手が応じない場合,最終的には慰謝料請求訴訟になるでしょう。認められる慰謝料は事案によって異なりますが,ネットの誹謗中傷の場合,判例検索をすると5~120万ほどの慰謝料が認められています。
ただ最近,500万を越える慰謝料が認められた,という裁判例の報告もあります。
法人の場合は,事業が不調になったことによる逸失利益を請求したいという相談も受けますが,ネットの書き込みと逸失利益との因果関係が通常は立証できないため,やはり,慰謝料相当額(法人の場合は「無形の損害」と表現します)になります。
また,投稿者の特定に要した弁護士費用を加算する,という東京高裁の裁判例もあり,たとえば,当サイトの料金を例にすると,IPアドレス開示仮処分と発信者情報開示請求訴訟で40万円ほどの調査費用がかかりますが,これも投稿者に請求することになります。