ログ保存仮処分

2015.04.02

ログ保存仮処分の必要性

経由プロバイダの通信ログは,およそ3か月から6か月で削除されます(ログ保存期間)。そのため,発信者情報開示請求訴訟を半年から1年かけて実施していると,その間に経由プロバイダの通信記録が消えてしまい,せっかく勝訴しても,投稿者の情報を開示されない,というリスクがあります。
もっとも、実際には、提訴して訴状が経由プロバイダに送達された時点+αでログは保存されますので、送達までの間にログが消える場合に、ログ保存の請求が必要となります。

あらかじめ,通信記録を保存しておいて欲しい,と請求する裁判手続は,ログ保存仮処分発信者情報消去禁止仮処分などと呼ばれます。

モバイル系プロバイダの場合,接続先IPアドレスなどの問題から通信記録が特定しにくいという事情もあり,ログ保存仮処分により,まずログを「探して」もらう,という手続が重要と考えます。
また、格安携帯などで、MNOの下にMVNE、MVNOが入っている場合にも、まずはログ保存仮処分を実施し、必要に応じてMVNOの開示仮処分に切り替える、等の必要性もあります。

任意のログ保存依頼との併用

最近のプロバイダは、ログ保存仮処分によらなくても、「任意の」ログ保存に応じている印象です。これから発信者情報開示請求訴訟を提起するので、しばらくログを保存しておいてください、と文書などで送る方法です。
保存に異存がない場合は、「いついつまで保存します」といった返事がきます。

もっとも上記のように、ログが判定しにくいケースや、MNOの下にMVNOが入っているケースなど、仮処分手続が必須となる場合もあるため、適宜、状況に応じて手法を併用していくことが肝要です。

任意保存の請求先(ログ保存依頼先)

プロバイダ請求先
ソフトバンク
softbank
〒135-0061
東京都江東区豊洲5-6-52
NBF豊洲キャナルフロント
ソフトバンク株式会社
お客様相談室 インターネットセキュリティチーム
KDDI〒163-8509 東京都新宿区西新宿2丁目3-2 26F
KDDIお客さまセンター ネットセキュリティ担当
https://www.au.com/support/inquiry/provider/

申立の趣旨の記載例

一般的なケース

債務者は,別紙発信者情報目録記載の各情報を消去してはならない

別紙発信者情報目録

別紙投稿記事目録記載のIPアドレスを,同目録記載の投稿日時に使用した契約者に関する情報であって,次に掲げるもの

  1. 氏名または名称
  2. 住所
  3. 電子メールアドレス

携帯電話会社(ドコモ)

債務者は,別紙発信者情報目録記載の各情報を消去してはならない

別紙発信者情報目録

別紙投稿記事目録記載のIPアドレスを,同目録記載の投稿日時に使用し,同目録記載の投稿先URLに接続した契約者に関する情報であって,次に掲げるもの

  1. 氏名または名称
  2. 住所
  3. 電子メールアドレス

携帯電話会社(KDDI、ソフトバンク)

債務者は,別紙発信者情報目録記載の各情報を消去してはならない

別紙発信者情報目録

別紙投稿記事目録記載のIPアドレスを,同目録記載の投稿日時に使用し,同目録記載の接続先IPアドレスに接続した契約者に関する情報であって,次に掲げるもの

  1. 氏名または名称
  2. 住所
  3. 電子メールアドレス
発信者情報開示請求の詳細
  • 2020/5/12 更新