発信者情報開示できないTwitter×ソフトバンク(2020/7版)

2020.07.30

ソフトバンクの方針変更

ソフトバンクは2020年5月、従前の方針を変更し、「接続先IPアドレス」が複数あるケースについては、サイト管理者から接続先IPアドレスの候補を開示されない限り、通信を調査しないこととしたそうです。開示訴訟でもテレコムサービス協会書式でも同様です。

そのため、請求者側でホスト名を正引きして得られた接続先IPアドレス(または接続先IPアドレスの候補)を提供しても、「サイト管理者から開示された証拠」を求めてきて、通信を調査してもらえません。

通信を調査されない結果、ログ保存期間の経過によりログが流れてしまい、発信者情報開示請求は不可能になります。

この方針変更は、携帯・スマホだけでなく、ソフトバンク光のような固定回線でも問題となります(問題とならない回線もあるようです)。

ログ保存仮処分でも対応は同じ

ソフトバンクの上記主張は、ログ保存仮処分(従来タイプ)でも同様です。サイト管理者から提供された接続先IPアドレスでない限り、通信を調査しないと主張します。法律上は、プロ責法4条の「保有」要件の否認になります。

解決策1(優先順位1)

最も簡単な解決策は、サイト管理者から接続先IPアドレスを開示してもらうことです。しかしTwitterは、そのような情報を開示してくれません。代理人に接続先IPを聞いたところ「保存していないから開示できない」「接続先IPを保存する理由がない」とのことでした。
Twitter以外のサイトでは、この方法が有効かもしれません。

解決策2(優先順位2)

何件かやってみた結果、ソフトバンクは、従来型のログ保存仮処分(住所氏名の保存仮処分)でも、裁判所が発令すればログを調査して保存してくれることが分かりました。
そこで、接続先IPアドレスを疎明して(「8個のうちいずれか」という表現で構いません)、住所氏名のログ保存仮処分をするのが次善の策です。Twitterの接続先IP「8個」については、別の記事で書いています。

この方法の問題点は、ログを調査していない段階で保存仮処分が発令される点です。発令後にログ調査した結果、ログが見つからないとき、保存の間接強制をするとソフトバンクはどうするのだろう、と思います。

解決策3(優先順位3)

7月に試行錯誤している過程で試した方法も書いておきます。
試す方法は、いつもと違う形のログ保存仮処分です。従来使われていたような「住所・氏名」の保存ではなく、契約者を識別する番号(顧客番号のようなもの)の保存を求めます。携帯電話回線の場合と、固定回線の場合とで別紙発信者情報目録の書きぶりが違いますので注意してください。書式1で書いたログ保存仮処分、書式2で書いた証拠保全申立てが発令されています。

(書式1)発信者情報目録(スマホの場合)

 別紙投稿記事目録記載のIPアドレスを同目録記載の投稿日時ころに使用し、同目録記載の接続先IPアドレスのいずれかに接続した通信にかかるSIMカード識別番号

(書式2)発信者情報目録(固定回線の場合)

 別紙投稿記事目録記載のIPアドレスを同目録記載の投稿日時に使用し、同目録記載の接続先IPアドレスのうちいずれかに接続した通信に関する記録に記載された、利用者を識別するための符号

解決策4(うまくいかなかった例)

ソフトバンクのオフィスへ証拠保全(検証)に行く、という方法も試しましたが、ログを検索できるエリアに部外者が入ることは、セキュリティの問題がある等の理由により、この方法はうまくいきませんでした。

ただ、上記の目録で証拠保全決定自体は出ています。

進行中の問題

現時点では、解決策2、3の方法によりログを調査してもらうことはできましたが、開示訴訟ではどのような主張をしてくるのか不明です。


  • 2020/07/05 作成
  • 2020/07/30 更新