Googleの提出した証拠
現在,各地の地裁でGoogle検索結果削除仮処分を申立てているわけですが,今回,Google側から拙著「ネット検索が怖い」が証拠提出されました。
立証趣旨
その立証趣旨は,「検索エンジンに対する削除請求が,個別の元サイトの管理者に対する請求よりも,手間や費用が少ないという観点から選択されていること等」だそうです。
紛争の実効的解決
しかし,手間ひまコストを総合考慮して,削除請求の相手と手段を考えるのは,むしろ当然ではないでしょうか。
この点について,さいたま地裁平成27年6月25日決定は「膨大なインターネット上の情報は、検索エンジンを利用しなければ、その情報に接することは容易ではなく、検索結果に表示されるウェブページが削除されなくても、検索エンジンに検索結果が表示されないようにすることで実効的な権利救済が図られる面もある。したがって、検索エンジンに対する削除請求よりも、検索結果に表示されるウェブサイトの管理者への削除請求を原則とすべきであると一概にいうことはでぎない」としています。
つまり,「実効的な権利救済」のためにGoogleに検索結果の削除を求めているわけです。
それゆえ,拙著を証拠提出していただいても,何らGoogleに有利な結論は導くことができないと思われます。