ドコモに「通信を特定できない」と言われたときは
NTTドコモに「通信を特定できない」と言われたときは、SSL通信の可能性があります。
「秒ズレ」の問題も考えられますが、ドコモはもともと前後2秒の範囲で通信を調査しているとのことなので、やはり、SSLの可能性を考えるのが良いでしょう。
SSL通信とは
たとえログ保存期間内でも、発信者情報開示請求のできない条件があります。その1つが、NTTドコモ×SSL通信。もう何年も前から変わっていません。
SSLは安全に情報伝達するための暗号化通信の仕組みです。SSL通信のURLは「https://」から始まり、そうでない通信は「http://」から始まります。
もっとも、最近のブラウザは「https://」「http://」の部分が表示されておらず、たとえばGoogle Chromeの場合、SSL通信なら鍵のアイコンが表示され、SSL通信でなければ「保護されていない通信」と表示されるか、「i」のアイコンが表示されます。
同じサイトでも、爆サイのように、SSL通信と、そうでない場合とがあるサイトもあります。
SSL通信かどうかはアドレスバーの表記で確認できる
同じサイトでもSSL通信の場合とそうでない場合とがあるサイトもある
NTTドコモはSSL通信の発信者情報開示請求ができない
docomoの提出する答弁書によると、docomoはログ・記録内容の制約により、たとえログ保存期間内でも、SSL通信の投稿者は特定できないとのことです。そのため、代表的なところでは、Twitter、Facebook、Instagram、Googleなど、発信者情報開示請求の要望が多いメジャーなサイトは全滅となっています。
なぜ特定できないのか
docomoの発信者情報開示請求には、接続先URLという情報が必要ですが、SSL通信の場合、接続先URLがドコモ側のログに記録されていないため、特定できないと理解しています。
別の方法で特定できないのか
ソフトバンクやKDDIでは、接続先URLではなく接続先IPアドレスにより通信を特定しているため、ドコモのような問題は生じていません。
そこで、ドコモでもソフトバンクやKDDIのように、接続先IPアドレスでの通信特定ができないのかと反論したこともありますが、検索の仕組みが違うため、接続先IPアドレスでは通信を特定できないという回答でした。
そのほかには、「使用機種」で通信を特定する方法も考えられます。東京地判平28・9・30は「投稿日時及び投稿先URLに加えて、使用したスマートフォンの機種情報についても発信者情報を特定するための情報とすることで発信者情報を特定することは可能であり、被告の主張は採用できない」と判断し、ドコモに対し、機種情報による通信の特定を命じています。
ログ保存仮処分を試す
上記の「接続先IPアドレス」で通信を特定したことはないのか? ドコモ代理人に聞いたところ、明確な答えは得られませんでした。もちろん守秘義務があるからでしょう。しかし、「そのような例はない」という回答でもなかったので、実施例があるのかもしれません。
そこで、ログ保存仮処分で、接続先IPアドレスによる通信特定を申し立ててみると何かが分かるのかもしれません。
2020/12/1から調査可能に
- 2020/06/06 作成
- 2020/08/28 更新
- 2020/09/10 更新
- 2020/09/18 更新