最高裁(第一小法廷)は令和3年3月18日、お問い合わせフォームから送信されたメッセージについて、IPアドレス使用者(送信者情報)の開示請求を否定しました。
令和2年(許)第10号 検証物提示命令に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
経由プロバイダは、検証物提示命令申立では、IPアドレス使用者を開示する義務を負わないとするものです。プロバイダ責任制限法が「特定電気通信」だけ開示請求を認めていること(メールやDM送信者の開示請求を認めていないこと)とのバランスからは、やむを得ない結論と考えられます。
なお、グーグルのGmailやInstagramのDMに関しては、米国ディスカバリの手続により、開示請求が認められた例はあります。
テーマ
- お問い合わせフォームの送信者特定
- メールの送信者特定
事案の概要
訴えの提起前における証拠保全として、検証物提示命令の申立てにより、IPアドレス使用者(お問い合わせフォームからの送信者)の情報を開示請求した事案
最高裁の結論部分
電気通信事業従事者等は,民訴法197条1項2号の類推適用により,職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて証言を拒むことができると解するのが相当である。
電気通信事業者は,その管理する電気通信設備を用いて送信された通信の送信者情報で黙秘の義務が免除されていないものが記載され,又は記録された文書又は準文書について,当該通信の内容にかかわらず,検証の目的として提示する義務を負わないと解するのが相当である。