発信者情報開示できないTwitter×KDDI

2020.07.27

接続先IPアドレスが必要

たとえログ保存期間内でも、発信者情報開示請求のできないケースがあります。Twitterの「接続先IPアドレス」の問題がその1つです。
投稿者がスマートフォンを使っている場合、KDDI・ソフトバンクに対する発信者情報開示請求では、投稿者の使用したIPアドレス(プロバイダのIPアドレス)と接続日時だけでなく、接続先IPアドレス(接続先サイトのIPアドレス)が必要です。というのも、スマートフォンではミリ秒単位でIPアドレスの使用者が切り替わるため、投稿者の使用したIPアドレスと接続日時(秒まで)では、通信が1つに絞り込めず、複数の契約者が該当してしまうからです。

この問題を解消するため、プロ責法の省令には、接続プロバイダ側(source側)の「ポート番号」という条項が追加されていますが、接続プロバイダ側のIPアドレスだけでなく、ポート番号まで保存しているコンテンツプロバイダ・サイトはとても珍しく、Yahoo!知恵袋など少数に留まります。
そのため実務上は、接続プロバイダ側のIPアドレス、サイト側(destination側)のIPアドレス(接続先IPアドレス)、接続日時の3つの情報で発信者情報を特定しているのが実情です。

接続先IPアドレスは記録がない

しかし、サイトの通信ログには、接続先IPアドレスの記録はないのが一般的です。記憶の範囲では、「転職会議」「ガールズちゃんねる」には接続先IPアドレスの記録があるようです。Yahoo!知恵袋では、接続先IPアドレスは「複数のうちいずれか」までは分かるけれども、そのうちどれなのかは記録がないため分からないと言われます。
Twitterに至っては、接続先IPアドレスの候補さえ教えてくれず、申立人側で候補を調べる必要があります。

Twitterの接続先IPアドレスは8つ?

Twitterの接続先IPアドレスは、「twitter.com」と「mobile.twitter.com」を正引きした限りでは、8つの候補があります。「Twitter Web App」「Twitter for Android」は前者、「Twitter for iPhone」は後者に接続していると考えられます。

Twitterの接続先IPアドレス
Twitterの接続先IPアドレス

かなり以前から、この8つしか出てこないため、DNSの値の変更はないのだろうと思われます。それでも、KDDIからは、接続先IPアドレスが一致しないという回答が戻り、結果として発信者情報開示請求を断念するケースがあります。

なぜ接続先IPアドレスが一致しないのか原因はTwitterもKDDIも教えてくれませんが、専用アプリを使っている場合や、SNS連携による投稿の場合には、上記の8つ以外のところにつないでいるのでは?といったことを裁判官と話したことがありました(きちんと実験していないため想像です)。

接続日時に±1秒程度のズレがあるのかも?

NTTドコモに開示請求すると,「目録記載の日時には見つからなかったが,±1秒のところに同IPアドレスの通信が存在した」といった返事をもらうケースがよくありました。
しかし,KDDIからは,こういった返事をもらうことがありません。
ということは,NTTドコモは親切にも±1秒,±2秒程度まで調査してくれるけど,KDDIは調査していない,という話なのかもしれません。

この可能性を考えるのであれば,「ない」と言われたときは,投稿日時の範囲を広げて検索して欲しい,と言ってみるのも1つの方法かもしれません。

と書いていたのですが、実際にこれを試したとの情報によりますと、タイムサーバーにズレがあるというのなら証拠を出せ、というのがKDDIの回答だったようです。

かつてNTTドコモの答弁書を読んだ限りでは、タイムサーバーやサーバーの内蔵時計がズレているという話ではなく、プロバイダのサーバーから送信された情報がサイトのサーバーに入る過程で伝達の遅れが生じるなどして、出る時刻と入る時刻がそれぞれ違う、という話でした。そのため、サーバーの時計のズレを証明しても解決にはならないのでしょう。

結論としては、この主張をしてもKDDIは調べてくれない、ということのようです。

KDDIのログ調査方法

なお、KDDIはもともとピンポイントの接続時刻でログを調べているのではなく、接続時間(接続開始時刻と接続終了時刻の幅)で調べているそうです。

KDDIのログ調査方法(イメージ図)


  • 2020/06/06 作成
  • 2020/07/27 更新